2006年11月15日

<No.8> ビジネスと社会価値のバランス

服部篤子

 ジョージ・ソロスは、著書『ソロスの資本主義改革論』で、「市場価値と社会価値の関係は、容易に解明されるものではない。問題は、両者の間に違いがあることを立証することではない。いかなるときに一方を指針とすべきか、またいかなる時に別の一方を指針とすべきかを判断することである。」と言っている。
 近年、企業、特にグローバル企業は、ステークホルダーを地域やNGOを含めた多様な層でとらえる傾向にあり、環境問題をはじめとする、社会の問題の解決に取り組むなど、「社会との関係」を強化するようになってきた。この情景には、企業の不祥事が相次ぐ中、世界のNGOが企業の動向に目を光らせ、問題があると世界に発信し、その影響力が無視できない状況がある。企業にとっては守りの姿勢という消極的な要因とはいえ、企業は、「社会的な価値」を高める姿勢が一層顕著になってきた。
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<NO.8> 地方都市におけるアートビジネスの可能性:前編 - 福岡・「アートをたずねる月」を例として -

高木崇雄
Gallery "Foucault++" 代表
アートをたずねる月事務局員


はじめに
 今、地方はアーティストを生み出しうる土壌となっているであろうか。そして地方が継続的にアーティストを育てていくためにはどのような要素が必要なのだろうか。また、地域活性化を目的として行われている様々なアート・イベントはどのような課題を抱えているのか。これらの要因を明らかにすることにより、地方都市において、他地域の経済圏に依拠することなく、アートという文化資本が地域に浸透することで産業として成立し、持続的発展を行うことの可能性について検討を行う。
 とくに、本稿では具体的な事例として、上記の課題を解決しつつアーティストを育てていくための地域作りを実現していこうとしている活動の一つとして、筆者が役員として参加し、毎年10月に福岡県全域で行われている「アートをたずねる月」というイベントを取り上げ、その成立経緯と具体的内容、そして現状の課題について明らかにしていく。

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<NO.8> 社会起業家のための政策分析入門F 政策の分析技法

服部 崇

分析技法とは、分析のための「技」、技術上の方法のことである。社会起業家にとっては、関心領域に関し、その社会事象の現状を理解し、現存する政策を振り返り、理想とする状態との乖離を埋めるための方策を見出すことが政策分析の目的となる。このための技法は、社会事象の実態把握や政策効果の測定に威力を発揮するものでなければならない。政策分析を進める際には、問題を特定し、仮説を立て、特定の方法論を採用し、仮説を検証する。この仮説・検証に見合った分析ツールを駆使することが必要となる。本稿では、社会起業家が政策分析を進めるに当たり、適切な分析技法を見出すために留意すべき事項について検討しておきたい。

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2006年06月25日

<Vol.7> 2006年 初夏号 目次

2006年初夏号 No.7
■社会起業家と資金
『エコ・レゾナンスでグリーン直接金融に乗り出そう』 坂本 忠弘(財務省)
『“社会にやさしい人達”はどうやったら生まれるのか?:アメリカのフィランソロピー教育戦略』
 大西 たまき(インディアナ大学)

■社会起業家の実際 
 『市井のソーシャルイノベーター達E あらためてNPOってなんなんだろう』 吉田 信雄(神奈川県)
『スリランカの社会起業家』 溝田 弘美(スリランカ在住)

■文化芸術にみる社会起業家
『プライベート・ホールの底力を聞こう!:オーナー連続インタビュー 第三回 東京 マカギャラリー』比留間 雅人(シンクタンク勤務)

■社会起業家のための政策分析入門E 「学」の総合性と専門性
服部 崇(APEC)

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<No.7> エコ・レゾナンスでグリーン直接金融に乗り出そう

坂本忠弘

銀行への預金と銀行による融資を中心にしたこれまでの日本の金融に、みなさんは満足しているだろうか。お金の出し手として一人ひとりが、自分の価値観や感性に基づき投資先を選び、「お金に意志を持たせる」ところを大きくすることが、新しい金融の流れを創ることになる。また、投資先の事業・活動とお金だけではない様々な「関わり」を持つ動きや、お金ではない「配当」を求める考えが出てきている。環境分野の例も交えて、自分のお金の行き先をしっかり見つめて、時にともに行動していく仕組みについて考えてみたい。
(本稿は筆者の個人的な見解をまとめたものである)

第一回
(「お金に意志を持たせよう」)

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<NO.7> “社会にやさしい人達”はどうやったら生まれるのか?:アメリカのフィランソロピー教育戦略

大西たまき

今年の春は“忙しい”時期だった。「忙しい」というのは何も仕事量が多い、と言った物理的な事のみを指しているのではない。フィランソロピー教育関連のプロジェクトを進めるべく同僚達と日本に帰っていたし、こちらでも様々な出来事があり「考えることに忙しかった」という方が正確だろう。全ては「どうしたら“社会にやさしい人達”のマーケットを生み出せるか」に集約する。
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<No.7> 市井のソーシャルイノベーターたち F

あらためてNPOってなんなんだろう

吉田信雄

「NPOとは何か」。学問的、哲学的な答えを書くつもりは全くないのですが、これまでも、いろいろな場面で訊ねられてきたフレーズ。しかし、未だに、「生活者」として納得いく答えが見つからないまま。本稿を執筆する過程を通じて、今の時点で、少しでも納得のいく答えを導きたいと思う。同じ悩みをお抱えの方は、お付き合いいただき、コメントをいただけるとありがたいです。


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<No.7> スリランカの社会起業家:児童虐待に取り組む

溝田 弘美(スリランカ在住)

 今年2月、ニューヨークからスリランカのコロンボに引越した。旅行では何度も訪れている国であるが、住むとなると、今まで見えなかった途上国の風景が目に入る。最近のアメリカでは見られないような掘っ立て小屋の立ち並ぶスラム街は、コロンボの各地にある。皮肉なことに、スマトラ地震による津波は、コロンボ南の海外沿いにあったスラム街を流し、いまや、景観の向上に貢献しているが。コロンボは不動産バブルで、豪華なマンション建設ラッシュのため、スラム街が余計に目につくのかもしれない。スリランカの社会問題やソーシャル・イノベーションなど深く知るために、まずは、社会起業家支援で著名なアメリカのNGO「アショカ」のアジア地区での活動をみながらスリランカの今後を考えてみたい。http://www.ashoka.org/global/aw_asia.cfm

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<No.7>「プライベート・ホールの底力を聞こう!:オーナー連続インタビュー第三回 東京 マカギャラリー」

比留間雅人

第一回が北九州、第二回が京都で、今回はいよいよ東京のスペースを紹介します。世田谷は下北沢の、閑静な住宅街にひっそりとある「マカギャラリー」(サイトはなし。オーナー・増井常吉さんのエッセイがhttp://hearth-net.org.hosting.domaindirect.com/hearth-net/maca_main.htmlで見られます)です。

開設は平成元年、今年で18年目。今ではオルタナティブスペースとして定評を確立しているので、アートや音楽、パフォーマンスなどの文化イベントに顔を出す趣味のある人なら、必ず一度は名前を見たことがあるはず、といっても過言ではないでしょう。

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<NO.7> 社会起業家のための政策分析入門E 「学」の総合性と専門性

服部 崇

「学」の総合性と専門性について考える。新たな「学」が構築されるとき、従来の「学」との関係が整理され、その「学」のための新たな領域が特定される。しかしながら、その試みは多くの場合、理論と実践の両面において困難に直面する。社会起業家のための政策分析を進めるに際して、基盤となる「学」とは何かについて検討したい。

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2006年01月09日

<Vol.6 新年号>巻頭言

待場 智雄

2005年は、鉄道脱線事故に建築偽装をはじめとする企業スキャンダルで明け暮れた。メディアのインターネット化のおかげで、小さな事件でも並列して取り上げられるせいもあろうが、企業の社会的責任(CSR)への掛け声が高まる一方で、日本企業への信頼度は年々後退しているような気がする。技術主体のイノベーションが日本経済の高度成長を支え、オイルショックなどの度重なる危機も救ってきた。しかし今後は、日本が得意としてきた技術の応用だけで、グローバル経済を乗り切れるわけではない。「失われた10年」を経て、地球環境や貧困問題が声高に唱えられるようになってもなお、イノベーションの方向を抜本的に考え直すことなく、技術や新製品で生き残れると信じている企業人に大きな不安を感じている(イノベーションという言葉が自動的に「技術革新」と訳されること自体が、日本的発想を象徴しているとも言える)。
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<Vol.6 新年号>日米ソーシャル・イノベーション・フォーラムを開催して

 2005年夏、米国から社会起業家支援で著名な非営利団体アショカとRoberts Enterprise Development Fund: REDF(以下REDF)のキーパーソンを招聘してシンポジウムを開催した。社会起業家は、「社会に変革をおこす」人々である。社会起業家の活動をどのように社会全体で支援していくことが望ましいのか、その糸口を探るために、「日米ソーシャル・イノベーション・フォーラム:社会変革投資へ、そのリターンを考える」と題して実施した。本フォーラムは、東京アメリカンセンターとの共催であり、国際交流基金日米センターの助成を得るなど多くの組織及び個人の協力のもとに実現したものであった。企画を含む準備期間に1年以上を費やした。シンポジウムのほか、日本の専門家と米国ゲストによる日米ソーシャル・インパクト専門家会議を開催した。その経緯と成果を振り返りながら、新年に取り組む方向性を整理したい。
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<Vol.6 新年号>「地味なセレブ女優」の死

大西たまき

「カウンターパート・インターナショナル」(Counterpart International)というアメリカのNGOをご存じだろうか。アナン国連事務総長の長年にわたるタスクフォース事務局長であり、全米NGO連盟機関インターアクションの理事でもあるレラリュー氏のリーダーシップの下、25以上の海外オフィス、300人以上のスタッフを抱え、南太平洋やカリブ諸国、アフリカ、イラク、アジア、旧ソ連等60余カ国にて救援活動を展開している団体である。
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<Vol.6 新年号>「プライベート・ホールの底力を聞こう!:オーナー連続インタビュー 第二回 京都市ラ・ネージュ」

比留間雅人

今日ご紹介する「ラ・ネージュ」(http://www.yuki-laneige.com/)は、京都は伏見の閑静な住宅街に佇む、白を基調としたホールです。正しくは、「ホール」ではありません。「ゲストに様々な出会いと和みを提供する場」として、亭主の四方有紀さんが94年に開設した「茶室」です。もちろん、スペースは「茶室」よりも大きいです。それでも、通常は30名、50名でキツキツというくらいで、パフォーマーと聴衆との関係は実に親密です。
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2005年12月18日

<Vol.6 新年号> ソーシャル・イノベーション 社会を変える力―国際協力の現場から見る「ソーシャル・イノベーション」―

岡市 志奈

私の仕事は、少しでも多くの人がより良い生活、より良い人生を送れるようお手伝いすることだと思っている。その思いは、コンサルタントとして働く時も、NGOとして働く時も同じである。国際協力という分野柄、私の仕事現場はもっぱらアジアの途上国にある。これまでに、ネパール、バングラデシュ、インドネシア、フィリピンなどで、環境保全、保健医療、公衆衛生、教育、災害対策などの分野で、政府レベルからコミュニティーレベルまでの様々なプロジェクトに携わってきた。このコラムでは、これまでの見聞を元に、途上国で起こっているソーシャル・イノベーション(または、その卵たち)を紹介しながら、ソーシャル・イノベーションが引き起される背景的要素、発展段階、要件などを考察する。今回は、このコラムを始めるにあたり、そもそも「ソーシャル・イノベーション」という言葉がどのような事を意味するのかを考えてみたい。
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市井のソーシャル・イノベーター E

2007年問題とコミュニティ・ビジネス

吉田信雄

本稿は、最近、取りあげられることが多い「2007年問題」への対応として、自治体が退職後の団塊世代がコミュニティ・ビジネスを起業することを支援するというアイデアについて検証することとする。



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<Vol.6 新年号> アメリカ高齢社会改革(2)―ニューヨークの日本人コミュニティ

溝田弘美

ニューヨークという大都会には、いくつもの人種マイノリティが個々のコミュニティを形成している。ニューヨーク市の保健福祉局によれば、伝染病予防の普及活動のために、90カ国以上の言語で対応できるスタッフがいるとか。ニューヨーク地域(ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの各州)に日本人は9万人(ニューヨーク総領事館調べ)もいるそうだが、日本人コミュニティの存在の影は薄い。しかし、最近になって日本人の高齢化が進み、介護などの問題が浮上したことで、ばらばらだったコミュニティの再構築が進もうとしている。
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<Vol.6 新年号> 社会起業家のための政策分析入門D アドボカシー

服部崇

アドボカシー(advocacy)とは何か。文脈に応じて様々な用いられ方をするが、公的機関が行う政策形成や意思決定に影響を与えようとする各種主体の活動を指すと言ってよいであろう。社会起業家は、社会に根ざす特定の問題について解決を図ろうとするとき、アドボカシーが必要となることがある。むしろ、政府の政策形成に自らの意見を反映させることを試みたり、立法や司法の領域において問題への適切な取り扱いを求めたりすることが、問題解決にとっての重要なアプローチとなることが多い。

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2005年09月06日

オンライン・ジャーナル【ソーシャル・イノベーション】のご案内

“ソーシャル・イノベーション”とは、身近な社会問題を様々な視点で分析し、提言、エッセーなどで、その解決を目指してソーシャル・イノベーションを起こす社会起業家らを応援するEジャーナルです。国内外のNPO、行政、財団、大学などの若手研究者と実務家による、市民に向けたメッセージです。以下のサイトから、無料で配信しています。

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ソーシャル・イノベーション
 
Social Innovation


編集人 待場智雄
発行CAC-社会起業家研究ネットワーク
       サイト制作 NPO法人フローレンス 駒崎弘樹


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<Vol.5 夏号>
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