2004年10月20日

こんなNPOって,あり? Aマスコミを騒がせたNPOの事例

澤村 明   新潟大学経済学部


 さて,論より証拠,不正行為などが発覚したNPOに関するマスコミ報道をいくつか紹介しよう。対象は特定非営利活動法人(または同法人になろうとしている組織),まずは時期の早いものから(記事は全て,ニフティのニュースクリッピングサービスによる)。

事例1:ミイラを作っていたNPO − 1999年11月13日付・毎日新聞ニュース速報
 千葉県成田市内のホテルで兵庫県川西市,元会社員,小林晨一さん(66)のミイラ化した遺体が発見された事件に関与したとみられるセミナー開催団体「ライフスペース」の関連組織「Shakty Pat Guru Foundation」(SPGF)の男性メンバー2人が13日,毎日新聞の取材に応じ,「小林さんは回復の最中だった」などと独自の見解を繰り返した。
 メンバーの男性は,「小林さんは病院で誤診を受け,劇物を投与され,危険な状態にあった。シャクティパットによる治療は小林さん本人と家族の希望であり,(発見時は)順調に回復している最中だった」と述べた。また,男性が示した「闘病ドキュメント」と題する5冊の冊子には,小林さんの「生存」を前提にした4カ月間の経緯が詳細に記されていた。
 警察の捜査について男性は,「抵抗はしない。ただし,小林さんが死んでいるという納得のいく根拠を示してほしい」とし「麻酔もなしに小林さんの体にメスを入れるなら,それは解剖という名の殺人だ」と話した。
 男性によると,SPGFは飢餓救済や医療ボランティア活動,出版活動を主な活動内容とし,大阪,名古屋,東京に拠点を持つ組織。「代表は特におかず,会員の人数も把握していない」としている。SPGFは経済企画庁にNPO法人の設立の申請を行ったが,9月29日に不認証の通知を受けている。
筆者コメント:一時話題になった,カルト宗教。教祖が「イタリアのどこそこでは定説じゃ」というのが口癖で,それを真似るのが流行った団体である。当時の経済企画庁に認証申請し,不認証だったらしい。

事例2:出資法違反の同和団体系NPO − 2001年5月7日付・共同通信ニュース速報
 貸し渋り対策として創設された「中小企業金融安定化特別保証制度」の融資を仲介し,法定限度額を超える手数料を受け取ったとして,出資法違反の罪に問われた民間非営利団体(NPO)「東日本同和会」(現在は名称変更)の元理事,入内島真一被告(42)ら5人の判決公判が7日,横浜地裁で開かれた。
 田中亮一裁判長は「中小企業経営者の心情につけ込んだ」などと述べ,入内島被告を懲役2年6月,執行猶予4年,罰金100万円(求刑懲役2年6月,罰金100万円)とするなど,全員に有罪判決を言い渡した。
 判決などによると,入内島被告らは1999年3月から4月にかけ,横浜市内の建設会ミの依頼で同制度の融資を受ける手続きを仲介。信用金庫からの1000万円の融資に対し,法定上限の5%を上回る227万円の手数料を受け取るなどした。
 東日本同和会は99年9月,NPOとして法人格を取得,昨年2月「日本人権擁護連合会」に名称変更した。

筆者コメント:NPO法立法をめぐる議論の中で,暴力団や似非同和団体の隠れ蓑になるのではないか,という危惧があり,暴力団排除は明文化されたが,似非同和団体は排除できなかった結果である。なお,暴力団が関与しているNPOも発覚している(事例4)。

事例3:テレクラを営むNPO − 2002年2月21日付・朝日新聞ニュース速報
 環境保護団体を装い,営業禁止区域で店舗型テレホンクラブを営んだとして,兵庫県警は20日,同県姫路市南駅前町のNPO(非営利組織)法人「地球クラブドラテレ」の事務所と,神戸市西区と姫路,高砂市にあるテレホンクラブ,経営者とされる姫路市の会社社長(37)宅など計7カ所を県青少年愛護条例違反の疑いで家宅捜索した。
 調べでは,駐車場にとめた車の中で借りた電話器で女性からの連絡を待つ「ドライブスルー型」の店で,社長の会社がテレクラとして営業したが,条例改正で1月から3カ所とも営業禁止区域になった。社長らは昨年12月に県に廃業届を出したが,その後の同月下旬,客数人にテレクラを営業した疑い。
 県警によると,客から最初に「環境団体への寄付金」などとして約4000円を集め,「ドラテレはテレクラでない」という内容のテープを聞かせ,同意した人に利用させたという。
 地球クラブは社長が代表を務めている。昨年,県と国にNPO法人格取得を申請。県は「非営利活動と確認できない」として認証しなかったが,国は11月,「環境保全活動団体」として認証した。

筆者コメント:人づてに聞いた情報では,このテレクラに電話すると,まず「この利用料の一部は環境保護のために使われます云々」というテープが流れていたらしい。他の報道によれば,「知らずに買い取ったシステムで,テレクラだとは知らなかった」だとか,いろいろと弁解していたようだ。

事例4:暴力団の関与発覚 − 2002年3月2日付・共同通信ニュース速報

 暴力団の資金源にするため実体のないNPO法人を登記しようとしたとして,電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで自称書類作成業,長野和彦容疑者(48)が逮捕された事件で,指定暴力団山口組系組幹部が同法人の設立費用約30万円を出し,知人を名前だけの役員にしていたことが2日,岡山県警暴力団対策課などの調べで分かった。
 NPO法人「地球環境保全委員会」設立で主導的役割を果たしていたのが分かったのは,別件の強要未遂罪で起訴されている山口組系組幹部伊浪康之被告。
 調べでは,伊浪被告は暴力団が地球環境保全委員会設立にかかわっているのを隠すため,同委員会事務局長金和寛被告=同罪で起訴=とともに,知人4人に「名前だけ貸してくれ」と依頼。岡山県に提出する同法人の申請書類の役員に4人の名前を使用し,昨年9月に認証を受けた。
 伊浪,金両被告は,特殊法人が発注する岡山市内の公共工事に絡み,1月23日,特殊法人の工事事務所長らを脅したとして,2月6日,別の一人とともに暴力行為法違反の疑いで逮捕され,強要未遂罪で起訴された。

筆者コメント:NPO法立法時に懐疑的だったサイドからは「ほら見たことか」といわれそうな事件である。暴力団関与のNPOはこの後に他にも,理事長等が恐喝、信用毀損及び業務妨害を行ったとして,認証取消しになった消費者問題研究会があった(2004年3月5日認証取消し)。また,本稿を書いている2004年10月頭にも1件,暴力団の関与するNPOの事件が記事となっている。

事例5:警告を無視して屎尿をマンホールに投棄したNPO − 2002年7月9日付・読売新聞ニュース速報

 非営利組織(NPO)の「福岡浄化槽自主管理協会」(本部・福岡県福間町)が,福岡県久留米市などで,し尿を収集し,マンホールから投棄していたことが8日,分かった。協会側は,投棄を認めた上で「指定業者の独占で,し尿処理費が高すぎるため」と主張,自治体の再三の警告にも応じていない。警察に取り締まりを要請したり,マンホールのふたを封鎖する自衛手段を講じたりする自治体も出てきた。
 協会は福岡,大分県の12か所に支部を置き,し尿,浄化槽汚泥の収集・運搬などが業務という。
 廃棄物処理法によると,し尿の収集・運搬には市町村長の許可が必要。協会は2000年12月,久留米市などで,「し尿処理施設への自主搬入を認めてほしい」と申請したが,指定業者が決まっていることなどから断られた。協会は許可を受けずに「(指定業者よりも)し尿のくみ取りと浄化槽管理を33%安く」と書いたチラシを各家庭に配り,約500世帯から依頼を受けたという。
 久留米市によると,昨年7月,「マンホールのふたを開け,し尿を垂れ流している」との情報が市民から寄せられた。同市御井町では今年1,2月の21日間,し尿が流された跡を確認した。これまで協会に対し,6回の警告文書を出したが,聞き入れられなかったという。し尿は,市の処理場で処理されている。
 田主丸,吉井両町では,マンホールのふたを溶接し,約70か所を封鎖。浮羽町を含む浮羽郡3町の町長は6月,吉井署に廃棄物処理法違反の疑いもあるとして取り締まり強化を求める文書を出した。
 これに対し,協会理事長(53)は「公の施設の使用を求めているのに『ダメだ』というので,やむなく(マンホールに)投棄している。ごみは個人搬入が認められているのに,し尿はなぜだめなのか」と反論する。
 環境省廃棄物対策課の話「マンホールへのし尿投棄は他に聞いたことがない。市や町の許可がなければ廃棄物処理法の無許可営業にあたる。自治体は警察とも連携して解決すべきだ」

筆者コメント:この事件も話題になった。このNPOは内閣府でも重視してNPO法に基づく報告を求めたが,報告徴収の回答を命ずる改善命令に違反したとして,2004年3月9日に認証取消しとなった。

さて,ここに紹介した五つは,筆者がNPO法施行後にマスコミ報道で気付いた早い事例である。実をいうと,時間を追うごとにNPOの不正行為に関する報道を追い切れなくなった。特に2003年に入ると,個別の事件報道だけでなく,雑誌などの特集記事としてもNPOの不正行為が紹介されるようになった。次号では,それらの特集記事について紹介し,コメントする。
posted by CAC at 01:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 市民・NPOと社会起業家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: 誤解を与えかねない情報を記載している自治体及び団体 あたたかい善意(広報いたばしより) "ありがとうございました。"(敬称略) ☆ 区へ  (2004年8月分) ▽清流ボランティアグループ11..
Weblog: 妄想きゃんねの備忘
Tracked: 2005-06-30 14:50
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