2007年10月03日

社会起業家のための政策分析入門H 政策実施過程の監査 服部 崇

先般、ISO9001:2000に関する内部監査担当者のための研修に参加する機会を得た。企業の生産プロセスに関する品質管理標準を目指して作成されたISO9000シリーズは、政府組織やNPO・NGOにおける政策・措置の実施過程の検証への適用も可能なようだ。本稿では、内部監査研修の際に感じた興味深い諸点を紹介したい。

「プロセスの品質管理の監査のポイントは、@言行一致しているか、A行動は効果的か、の2点だ」と講師は述べた。
初めに言葉ありき。言行一致とは、計画したとおりに行動がなされているという状態のことである。監査担当者は、行動が規則、ガイドラインに沿っているかを確認する。この際前提となっているのは、プロセスに関する計画が事前に作成され、それに沿って行動がなされ、そしてその結果を検証し、改善すべき点は改善する、という一連の流れを重視することである。
言行一致の「言」が存在しない場合は、どのように対処すればよいのか。その場合は、言行一致は確認できないため、必然的に行動が効果的か否かに重点が置かれることとなる。もちろん、言行が一致している場合であっても、その行動が効果的か否かは問われることとなる。
行動の効果の判断には、基本的には、アウトプットが政策・措置の対象者の要求をどの程度満たしているか(Customer Satisfaction)が基準として採用される。

プロセスの監査では、以下の図に示される5項目に注目する。プロセスはインプットをアウトプットに変換する過程であると定義できる。コントロールとはプロセスに適用される制約、リソースとはプロセスに必要な機材や人材を指す。このダイアグラムの各項目に沿って、監査担当者が監査に際して検討すべきとされる質問事項を例示してみよう。

コントロール


インプット → プロセス → アウトプット


リソース


1)インプット
○プロセス開始の引き金となるのは何か。
○何が必要とされるか。情報か。モノか。
○入手先はどこか。
○適切なタイミングで得られたか。
2)アウトプット
○プロダクトは何か。
○対象者の要求は満たされたか。
○計測方法は何か。
○受益者からはどのようなフィードバックがなされたか。
3)コントロール
○プロセスの責任者は誰か。
○いかなる法令、規則が適用されるか。
○対象者は何を要求しているか。
○いかなる要件が適用されるか。
○いかなる目的・目標が関連しているか。
4)リソース
○どのような機材が必要か。
○機材は適切か。適切に管理されているか。
○どのような人材が必要か。
○人材は適切に訓練されているか。
5)プロセス
○どのようなステップがあるか。
○各ステップで何が起こったか。
○記録はなされているか。
○記録どおりに実行されたか。
○コントロールは適用されたか。

監査担当者は、法令、規則、および事前に計画されたことが遵守されているかを確認する。それに加えて、プロセスの結果が効果的であるか否かを精査する。上図の各項目の精密な吟味を通じ、監査担当者は対象プロセスをより良く理解し、改善点を指摘することができるようになる、という。

以上、ISO9001に関する内部監査研修で語られていたことについて、若干の補足をしながら記した。品質管理の手法は注意深く適用すれば、政府組織やNPO・NGOにおける政策・措置の実施過程の検証にも有益であるかもしれないと感じた。
posted by CAC at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ソーシャルイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/58496509
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。