2007年05月07日

『エコ・レゾナンスでグリーン直接金融に乗り出そう」B』   坂本 忠弘(元財務省)

第三回
(直接投資を広げていくために)

 意志を込めた投資をしたいと考える個人投資家にも、様々幅があるところと思う。一定の利回りはやはり期待したいという人。よい事業であれば金銭的な利回りはあまり期待しないという人。場合によっては元本が下回るリスクも覚悟するという人。寄付の感覚で社会への投資をしたつもりで元本の償還もあまり期待しないという人。
もちろん、同じ人でも、時々の状況や投資の対象により、ポジションは異なるものと思う。
間接金融は、極端な言い方をすれば、「おまかせ」「まるなげ」のお金の託し方である。しかし、さりとて、全ての人が全てのお金について、直接金融で個々に判断してお金を投じていくことも、現実的にはとても大変であり難しい。
直接金融を広げていくためにポイントとなると考えられる要素を三つ挙げてみたい。
一つは、リスクのとり方の多様化である。
投資家が投資先の事業の成否・好不調のリスクを一人で負うのではなく、より多くの人とリスクをシェアする、あるいは、より多くの投資先を組み込むことで個々の成否等の影響を小さくするような仕組みで、選択肢がたくさんできれば、自分に合った直接投資の行動がとりやすくなると考えられる。

一つは、情報のアクセスの容易化である。
事業・財務等の情報開示という基礎的な土台に加えて、その投資に関するテーマや地域から発するメッセージにわかりやすく接することができれば、顔が見える投資家の選択の機会を増やすことになると考えられる。

一つは、関わりの機会の工夫である。
金銭的なものではない様々なかたちの「配当」や、お金だけではない様々なかたちの「投資」の新しい姿を創っていくことも、直接投資を多様化することにつながるものと考えられる。

(「グリーン直接金融」の可能性)

 投資信託や証券化を活用した市場型間接金融とよばれるものの中では、環境分野は先駆的なものであり、今後も、例えば環境関連の中小企業を集めた「グリーン証券化」など、その道を拓いていくものと考えられる。
コミュニティ・ファンドの世界では、例えば環境分野を対象にした各地での「エコ・コミュニティ・ファンド」の立ち上げと、「横の連携」による、より大きなお金の流れをアピールしていくことなどが考えられる。

また、リレーションシップ・インベストメントの世界では、例えば風力発電や太陽光発電などの種々の事業主体が集う投資マーケット「自然エネルギー市場(いちば)」などが想起されよう。
 あるいは、「緑の起業オークション」などで、お金だけではない地域や社会の「財」や「関わり」を持ち寄り、引き出し、活かす動きも見られることだろう。

 消費者・需要者がモノやサービスの生産者・供給者と直接つながり、資金も提供していく、という動きも更に出てくるであろう。農業分野では、農家と消費者が資本を出し合い株式会社を作り、農業分野への新しい直接投資を進めようという、寄付市場創造協会の渡辺清さんが提唱する「ファームシート」が先駆的な取り組みとして挙げられる。

 愛着のある地域・コミュニティでつながる縁。あるいは、身近な地域や社会をこういうようにしたいとか、自分の暮らしや生活をこういうようにしたいというような、自らの好みでつながる縁。あるいは、自然エネルギーでクリーンな地球にして次代に引き継ぎたいというような、大きな夢でつながる縁。
そのような、「地縁」「好縁」「夢縁」でつながる直接金融の流れが始まっているのではないかと感じる。
 そして、自ら「選択」し、「持ち寄り」と「参画」で楽しみながらお金を活かす、新しいお金の流れを創る動きも、そこここで、もっと見られるようになるだろう。

(「エコ・レゾナンス」で始めよう)

 著名なアーティストが集まり、アーティストのパワー、オルタナティブなパワーの意を込めて立ち上げ、環境分野の志ある事業・活動に光を当てて資金を融資していこうという、APバンクが、「エコ・レゾナンス」というコンセプトを提唱している。レゾナンスとは、元々「共鳴、共振」と言う意味で、人が日常でふと思うエコ意識、「気持ちよく、よく生きる」という意識を、どんどん共鳴、共振させて広げていこう、という想いや活動を、意図するものである。

 しかめっ面にならない、押し付けがましくならない、優等生にならない。もっと、無理なく素直でポジティブなエコ意識、という。
 そういうような、一人ひとりが無理なく素直によいと思うエコ活動を、自分の感性で捉え判断して投資し、よいと思うことが周りの人たちにも伝わっていく、エコ・レゾナンスで、環境分野において直接金融への流れが広がっていくことを期待したい。
posted by CAC at 13:06| Comment(1) | TrackBack(0) | ソーシャルイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
服部様のCACには複数回出席して大いに夢を膨らませています。私は「美による人の生命助け」を
折り紙というツールで展開しています。教育問題の解決にもパワーになります。これまで、米国児童のべ約11万人に指導して「いじめ問題」を解消してきました。坂本さんの「変える一歩」「変わる勇気」「エコ・レゾナンス」に共鳴しています。これからもサポートのほどよろしくお願いします。中国電力協会のHPを開いて、記念行事を、
次に記念講演をクリックしてみて下さい。出ます
Posted by 佐藤芳夫 at 2007年05月14日 15:53
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。