2005年05月26日

■ 社会起業家のための政策分析入門C「公共経営と政策分析」

服部崇  経済産業省通商政策局欧州中東アフリカ課
公共経営(Public Management)について取り上げたい。今回は、社会起業家が政策分析を行う際に公共経営の視点を念頭に置くことを薦めたい。特に、戦略的公共経営における3つの着目点(価値、正当性・支持、運営能力)について紹介する。これらの点は、政府・地方自治体の政策を分析する際に有意義である。(さらに、それ以外の公共組織を観察・運営する際にも役立つと思われる。)

社会起業家−政府・地方自治体、NPO/NGO、その他所属は問わない−は、(運営対象としてであれ観察対象としてであれ)自らが関与する公共組織の運営が適切になされているかどうか、改善するためにはどのようにすべきか、に関心を持たざるを得ない。
公共経営とは何か。前回述べたように、公共経営は、「行政管理(Public Administration)」と「公共政策(Public Policy)」の2つの流れの中から分岐して確立されてきた、と整理するとわかりやすい。「行政管理」の流れからは、公共経営は、行政官が政府のプログラムを実施するために必要な手法や技術を重視する。他方、「公共政策」の流れからは、公共経営は政府の−現在では非営利組織も含めた広い意味での公共組織の−指導者が、政治的な環境の下で、適切な政策目的を設定し、実現するための手法や技術を重視する。(公共経営に関するこうした見方については、Lawrence E. Lynn, Jr. (1996) Public Management as Art, Science and Profession. Chatham, NJ: Chatham Houseを参照)。
社会起業家にとっては、当該関与する公共組織の運営・分析に当たって、「行政管理」の流れの公共経営、「公共政策」の流れの公共経営、のどちらに立脚して検討しているのかに留意することは意味がある。ここでは、後者の意義を力説することとする。
「公共政策」の流れの公共経営を端的に汲むのが、「戦略的公共経営」の考え方である。ハーバード大学のムーア教授は、「戦略的公共経営」では、価値、正当性・支持、運営能力の3つの点に着目することを推奨している(Mark H. Moore (1995) Creating Public Value: Strategic Management in Government. Cambridge, MA: Harvard University Press)。

これは次のように図示される。
seisaku4.gif

政策分析に資する観点からは、政府・自治体が政策の立案・実施を達成するために「戦略的公共経営」を行っているかを検証することが有意義である。そこで、これらの3点に沿って、(公共)組織の分析を進めるための質問項目を例示してみよう。

「価値」・・・組織の当該活動は如何なる公共価値を創造するのか。当該組織の任務や目的に照らして、如何なる価値を高めているか。

「正当性・支持」・・・組織の当該活動に正当性があると認められるか。議会、市民、利益団体、メディアの誰にどのように支持されているのか。

「運営能力」・・・組織がその任務や目的を達成するために必要なノウハウや能力を十分に有しているか。また、組織の外部環境は組織が当該活動を完遂できる状況にあるか。

これらの3つの着目点(価値、正当性・支持、運営能力)について、各自が具体的な組織の運営や具体的な政策の実施状況の検証に用いてみることを推奨する。

なお、ムーア教授は、これらの3つの着目点は、政府のマネジメントに限らず、NPO/NGOのマネジメントにも有効であるとしている(Mark H. Moore. (2000) Managing for Value: Organizational Strategy in For-Profit, Nonprofit, and Governmental Organizations. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, Vol. 29, no. 1, Supplement 183-204.)。政府・地方自治体に限定されるのではなく、広く公共組織を運営・観察する際に参考となる視点かもしれない。
次回は、社会起業家にとってのアドボカシーについて書く予定。
posted by CAC at 17:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 政策と社会起業家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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