2005年12月18日

<Vol.6 新年号> 社会起業家のための政策分析入門D アドボカシー

服部崇

アドボカシー(advocacy)とは何か。文脈に応じて様々な用いられ方をするが、公的機関が行う政策形成や意思決定に影響を与えようとする各種主体の活動を指すと言ってよいであろう。社会起業家は、社会に根ざす特定の問題について解決を図ろうとするとき、アドボカシーが必要となることがある。むしろ、政府の政策形成に自らの意見を反映させることを試みたり、立法や司法の領域において問題への適切な取り扱いを求めたりすることが、問題解決にとっての重要なアプローチとなることが多い。


本連載では、社会起業家にとっての政策分析について検討している。政策分析を行うこと自体が自己目的化しては意味がない。分析結果をいかにして現実の政策に反映するかが重要となる。その検討を通じて、現在の政策の変更で対処できる問題と、政策の枠を超えて社会変革が必要な問題とをより分ける。この際、アドボカシーの観点を十分に踏まえて政策分析に当たることが、社会起業家にとって必要だ。

ワシントンDCにある非営利研究で有名な研究機関、アーバン・インスティテュート(The Urban Institute)は、「非営利アドボカシーと政策過程」と題したセミナー・シリーズを2000年から2001年にかけて開催した。リストを見ると、大学(ロースクールなど)、弁護士、会計事務所、非営利組織などが参加している。非営利組織の政策過程への参画、政治活動に関する規制の現状と改善のあり方などについて取り上げている。政治家・政党とのかかわり方や、アドボカシーのための戦略・資金運営などを伝授しようとした。非営利組織の「代表性」の問題、政治参加や結果責任のあり方などについても議論しており、政策分析の結果を政策につなげる際に考慮すべき点として参考になる。

政策分析結果を政策につなげるには、単なる学術論文ではなく、「政策提言」を作成し公表することが有益である。学術論文は、問題を特定し、仮説を立て、特定の方法を採用してその仮説を検証し、結論を述べることが一般的な形態である。政策提言は一般の学術論文に記載される内容に加え、分析結果が政策に与える意味や政策に反映するための方策、方策が実現した場合の社会への影響などについて言及する。学術論文が新たな発見を伝えることに意義があるとすれば、政策提言はその発見を政策の改善に結びつけることに価値を置く。

アドボカシーとしての政策提言は、政策が対処しようとする問題に関する状況分析、その問題が生じる原因の特定、解決策としての政策の提示、当該政策の採用がもたらすメリット・デメリットなどを明示することにより、実現可能性も含めて政策の必要性・有効性を説得力を持って主張するものでなくてはならない。
posted by CAC at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ソーシャルイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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