2007年10月03日

ソーシャルイノベーション≪10号≫

文化芸術にみる社会起業家
■『 地方都市と映画 第2回:映画祭編』       
「湯布院映画祭 −その自律的な文化情報発信装置としての機能について」
児玉 徹(九州大学)

社会起業家と支援・金融

■『社会変革をもたらす米国財団』
小林 香織(SPF)

■『社会起業家は地方自治体との協働をいかに評価すべきか』
吉田 信雄(神奈川県)

■『米国非営利融資のパイオニア、ミラー女史をお迎えして〜Nonprofit Finance Fund:NFFとは』
大川新人(多摩大学)


社会起業家のための政策分析入門H

■『実施過程の監査』 

服部 崇(APEC)

社会起業家の実際

■社会を変える力―国際協力の現場から見る「ソーシャル・イノベーション」―C『イノベーションにリーダーシップは必要か?』
岡市 志奈(独在住)

■『社会起業家の理論構築にむけて』

服部 篤子(CAC)


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地方都市と映画 第2回:映画祭編 「湯布院映画祭 −その自律的な文化情報発信装置としての機能について」 著者: 児玉 徹

(1)はじめに

今年の8月22日から26日の5日間にかけて、大分県の由布院において、第32回の「湯布院映画祭」が開催された。筆者は、幸運にも同映画祭に実行委員のひとりとして参加する貴重な機会に恵まれた(といっても末席を汚しただけのことであるが)。と同時に、ひとりの「観照者」として、同イベントが提示する「地域社会における自律的な文化情報発信装置」としての高い機能について、極めて客観的に観照することができた。

本稿では、本ジャーナル第2007年春号に掲載された「地方都市と映画」シリーズの第2弾として、現在地方都市において開催されている数多くの文化イベントとは一線を画する特徴を備えた「湯布院映画祭」の魅力と、それが含有する「地域活性化に向けた『文化装置』のモデルケース」としての普遍的要素について、筆者の実体験をもとに語ってみたいと思う。

なお、以下記すことは、湯布院映画祭の実行委員であった立場からではなく、あくまでもひとりの独立した「観照者」としての立場から述べるものであることを、ご了承願いたい。

先ずは湯布院映画祭についての簡単な紹介から。続きを読む
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社会変革をもたらす米国財団

米国の財団の歴史を紐解くと、その出現は20世紀初めといえるが、創設者はいわずと知れた大富豪、時には弱者の敵とも目された大資本家たちである。皮肉といえば皮肉、当然といえば当然なのだが、いずれにしても、アンドリュー・カーネギーとジョン・ロックフェラー1世の二大資本家を筆頭に、彼らは蓄積された富を後世まで世のため人のために生かすことを考えた。ビジネス界のリーダーの存在なくして、「フィランソロピー」は成り立たなかったのである。
では「フィランソロピー」とは何か。「チャリティ」とはどう違うのか。続きを読む
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社会起業家は地方自治体との協働をいかに評価すべきか  吉田信雄

■はじめに
 社会起業家が成功しているか否かは、「ダブルボトムライン」を達成しているか否かで評価される。ダブルボトムラインとは、「事業の採算ライン」と、「ミッション達成ライン」の二つのラインを指す言葉である。
 しかし、事業の採算ラインの達成とは言うものの、成功していると言われている日本の社会起業家の状況とは、認識にズレがあるかもしれない。
社会的な評価が高まる一方で、採算性どころか、自らの収入を含めた人件費に対して十分なキャッシュフローを獲得出来ないまま、目の前にある仕事に追いまくられているというのが現実の姿であろう。
今後、日本において社会起業家が成功していく上で個々の社会起業家が経営努力して解決すべき課題であると、理想論をも持って指摘したところで、それが答えであるならば、社会起業家の未来を期待することはできない。
理想論を述べるのでなく、彼らを支える社会の側が充分なキャッシュフローを配分していくシステムをいかに構築すべきか、現実の社会の中でどのように実現していくのか、真剣に考える時期に差しかかったと言っていいのではないだろうか。
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『米国非営利融資のパイオニア、ミラー女史をお迎えして〜Nonprofit Finance Fund:NFFとは』

今秋、10月に米国の非営利金融のパイオニアとして著名なNonprofit Finance Fund: NFFの代表&CEO、クララ・ミラー女史をお迎えしてセミナー及びフォーラムを開催することとなった。クリントン政権時代に創設された制度CDFIファンド(コミュニティ開発金融機関向けファンド)を背景に、大規模にNPO及び社会的事業に融資を行って成功している。財務省の諮問委員会の座長も務めて制度設立に寄与し、貧困層のコミュニティ開発へ資金のアクセスを容易にした。

CDFIファンドのしくみ、さらに、NFFとはどのような組織なのか、その実態をみてみたいと思う。日本にはない制度と組織。日本の今後のコミュニティ投資を模索する上で示唆に富むことであろう。
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社会起業家のための政策分析入門H 政策実施過程の監査 服部 崇

先般、ISO9001:2000に関する内部監査担当者のための研修に参加する機会を得た。企業の生産プロセスに関する品質管理標準を目指して作成されたISO9000シリーズは、政府組織やNPO・NGOにおける政策・措置の実施過程の検証への適用も可能なようだ。本稿では、内部監査研修の際に感じた興味深い諸点を紹介したい。

「プロセスの品質管理の監査のポイントは、@言行一致しているか、A行動は効果的か、の2点だ」と講師は述べた。
初めに言葉ありき。言行一致とは、計画したとおりに行動がなされているという状態のことである。監査担当者は、行動が規則、ガイドラインに沿っているかを確認する。この際前提となっているのは、プロセスに関する計画が事前に作成され、それに沿って行動がなされ、そしてその結果を検証し、改善すべき点は改善する、という一連の流れを重視することである。
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社会を変える力―国際協力の現場から見る「ソーシャル・イノベーション」―C『イノベーションにリーダーシップは必要か?』

うれしいニュースが飛び込んできた。このコラムで取り上げているネパールの社会起業家モハビール・プン氏が、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるマグサイサイ賞を受賞した。山村でのワイヤレス通信技術を使ったイノベイティブな活動とそのリーダーシップが評価されたのだ。今回は、コミュニティーでのリーダーシップに焦点を当ててみたい。

山村におけるリーダーシップの特徴
ネパールの山村といっても、一言で言い表すことはできない。地理的条件や社会経済環境、風習の違いにより、各村の様子は千差万別である。リーダーシップの形態も同じである。村の会合に参加すると、その特徴を垣間見ることができる。

たとえば、市場へのアクセスが悪いティコット村(以下、A村)は、通称「キャプテン」と呼ばれる元グルカ兵(イギリス軍傭兵)の長老が長い間村の要職に就いている。彼が「うん」と言わない限り事は何も進まない。
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社会起業家の理論構築にむけて〜研究の一方向性〜 服部篤子

 我々CACが社会起業家をキーワードに、ネットワークの構築を模索し始めた2000年以来、社会起業家に対する関心は、今年のメディアに劇的な変化をみることとなった。しかしながら、社会起業家の概念はまだ定着していない。国際的にみても、現在、社会起業家や社会起業家精神の定義に関わる論文、事例研究成果が数多く発表されている段階にある。

1980年初め、エドワード・スクロットが「非営利ベンチャー」、「非営利アントレプレナーシップ」という用語を用いた頃からこの概念の議論が始まったと言われている。アショカの創設者ビル・ドレイトンは、当初「パブリック・アントレプレナーシップ」という用語を用いていたが、後に、「社会起業家精神」に統一した。

 このほか、定義に言及する論文は、J・エマーソン、G・ディーズ、B・アンダースン、P・ライト、K・アルター、C・レッドベター、R・マーティン、M・クラマーなど多数見受けられる。ソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)に関しては、さらに、ヨーロッパを中心に多くの著名な研究者や実務家が世界で発信している。
今回は、「ソーシャル・イノベーション・ジャーナル」10回目であり、先行研究を引用しながら、社会起業家の活躍が一層高まるために研究の一方向を模索したいと思う。
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2007年05月07日

【Social Innovation 9号】<2007年春号> 

巻頭言
 ソーシャル・イノベーションに欠かせない複眼的思考        待場 智雄

社会起業家と政策
 社会起業家のための政策分析入門G
 『“殺されない”ためのリーダーシップ論』
 服部 崇APEC)

文化芸術にみる社会起業家
 『 地方都市と映画 第1回:映画館編』
  児玉 徹(九州大学)

 
社会起業家の実際

 社会を変える力―国際協力の現場から見る「ソーシャル・イノベ ーション」
―B『お金になる木の発見』
  岡市 志奈(独在住)

 『日本の伝統的「社会起業家精神」:グンゼ』
  服部 篤子(CAC)

社会起業家と支援、金融

 『エコ・レゾナンスでグリーン直接金融に乗り出そう」B』
  坂本 忠弘(元財務省)


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【巻頭言】ソーシャル・イノベーションに欠かせない複眼的思考

 海外に暮らしていると、テレビやラジオから「日本」という言葉が聞こえるごとに耳を“ダンボ”にしてしまう(めったに日本の話が流れることもないのだけど)。日本のニュースや話題の多くは新しいハイテク商品紹介(なぜか必ず女性社員かキャンペーンガールが一緒に映っている)が占めるのだが、社会的な話題となると結構真実を突いているものが往々にしてある。

 今年は英国で奴隷制度が廃止されて200周年を迎えたが、先日ある英紙で「現代の奴隷制」という特集が組まれ、世界各地の問題が地図でビジュアルに紹介されていた。その中で鉱山における児童労働などとともに、「先進国で最大数の“奴隷労働者”を抱える国」として名前が挙げられたのが日本であった。いわゆる売春に駆り出されるじゃぱゆきさんや研修制度悪用による外国人の低賃金労働者を指している。類似の問題は各国あるとはいえ、まさか日本が欧米各国をしのぐほど深刻であるとは、政府や専門家でさえも認識していないのではないだろうか。
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posted by CAC at 13:22| Comment(0) | TrackBack(1) | ソーシャルイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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